基礎情報
基礎情報
オリジナル 1665~66年 油彩
カンヴァス 470x400mm
マウリッツハイス美術館が所蔵
(オランダ デン・ハーグ)
レプリカ 2016年 油彩
カンヴァスにジェッソ
F8(455x380mm)
理想の女性像「トローニー」
この作品はフェルメールの代表作の一つで、『青いターバンの少女』・『ターバンを巻いた少女』とも呼ばれ、オランダのデン・ハーグのマウリッツハイス美術館が所蔵する作品です。
口元にかすかな笑みを湛えるかのようにも見えるところから「北のモナ・リザ」「オランダのモナ・リザ」とも称されています。
描かれた少女が誰かはわからないのですが、これは「肖像画」ではなく、「トローニー」という独自の様式に分類されるそうです。
モデルなしに想像で描いたものか、実際にモデルはいても、肖像画のようにその人物の地位や名声を表面に押し出す必要がない形式だそうで、そのため画家が自由に描く事ができる形式だとウィキペディアに書かれています。
元祖萌えキャラ
モデルを使わないで理想の女性像を描く事は日本のアニメや漫画、ゲームなどのサブカルチャーの世界では盛んに行われています。
いわゆる萌えキャラと呼ばれている芸術形式で、現在の日本で大いに盛り上がっております。フェルメールの『真珠の耳飾りの少女』は彼にとっての理想の2次元嫁であったのかもしれません。
モデルは東洋人?
フェルメールの描く女性は、どことなく西洋人離れした顔立ちの方が少くありません。この絵の少女もそうなのですが、どことなく東洋系の顔立ちをしているのです。
そして、着衣に注目すると気になる点が浮かび上がってくるのです。この少女の来ている着物は日本の綿入れなのです。この作品の他にも同様の綿入れや、着物らしきものを着ている作品があるのです。
綿入れとフェルメール
真珠の耳飾りの少女の着ている服は、日本の綿入れ半纏(丹前)です。日本の丹前は当時オランダの富裕層の間で室内防寒着として流行っていました。
その後、17世紀末までにはヨーロッパ中に普及したそうです。他のフェルメール作品「天文学者」や「地理学者」の人物も同様の着物を着ているのです。
また、「画家のアトリエ(絵画芸術の寓意)」のモデルさんも和服らしき着物を着ているのが分かります。
これは、当時のヨーロッパでは日本から持ち込まれた日本製の綿入れが流行していたという背景もあるかと思うのですが、わざわざ絵のモデルに綿入れを着せているのには、なにか特殊な事情がありそうなのです。
参考画像
作品画像 | 基礎情報 |
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「天文学者」
制作年代:1668年
技法:カンヴァス、油彩
サイズ:50×45cm
所蔵:ルーヴル美術館 (フランス、パリ) |
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「地理学者」
制作年代:1669年
技法:カンヴァス、油彩
サイズ:51.6×45.4cm
所蔵:シュテーデル美術館 (ドイツ、フランクフルト) |
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「絵画芸術」
制作年代:1666年 - 1667年頃
技法:カンヴァス、油彩
サイズ:120×100cm
所蔵:美術史美術館 (オーストリア、ウィーン) |
日本人の移民団
14世紀のベネルクスに、日本から大量の移民があったというお話を聞いたことがあります。
南朝系の皇統奉仕衆と呼ばれる方々が、ペストで疲弊したヨーロッパに御朱印船の大船団を組んで、大挙して移民しているのだそうす。
ウバイド文化
その昔メソポタミア地方に、シュメール文明の前文化であるウバイド文化を築いたのは、7,300年前の九州南部の海底火山、鬼界カルデラの噴火の後にこの地に渡った日本人であったと考えられる説があるのです。
この日本人の末裔の一部は、後にインドにわたりインダス文明を築きます。その後彼らの一部は、ヨーロッパにたどり着いているのです。
その方々の末裔は、イギリス王室や、オランダ、ベルギーの王室にも入っているそうなのです。
日本からの大量の移民団は、こうした西欧の王族の要請を受けて行われたものであると推測されるのです。
西欧文化の再起動
これら、日本からの移民団は、人口の1/3が失われ文化的衰退期に入ろうとしていた西欧社会にとっては、起死回生の起爆剤になったのではないかと推測されるのです。
15世紀に入って、フランドル地方にいきなり完成した形での油彩画の技術が登場してきます。この元となった技術を持ち込んだのが、御朱印船の大船団で西欧に渡った漆職人さんたちであっただろうと推測しています。
西欧には漆がありませんでしたから、職人さんたちは漆に変わる材料の探索をはじめます。その結果見つけだされたのが、ドイツの森で採取されたストラスブルグ・ターペンタインだったのです。
モデルは日本人?
こうした背景を想像してみると、貿易商でもあり旅人のための宿も経営していたフェルメールは日本人の末裔であって、モデルさんには好んで同国人や現地人とのハーフさんを使っていたのではないかと推測されるのです。
あくまでも、管理人ののの勝手な想像です。
フェルメールとラピスラズリ
フェルメールは当時、同量の金と同じ価格がしたと言われているラピスラズリから抽出した鮮やかな青い色の絵の具をふんだんに使っていたと云われています。
この作品でも、ターバンの青にラピスラズリが使われているのです。レプリカには、ターバンのところにほんの少しだけ俵屋工房製のラピスラズリを使ってみました。最後の層にほんのちょっとだけ塗ってみたのです。おそるおそるほんのちょっぴりだけ。
俵屋工房製のラピスラズリは実に綺麗な発色の良い色をしています。残念ながら俵屋工房さんは現在、個人向けの通信販売の業務を休止していますから、入手は大変困難となっています。
古典技法と現代技法と併用
この模写は、静南美術研究所の河村嚴生先生の御指導のもとに、古典技法と現代技法を併用して描いた二枚目の模写となります。フェルメールの『牛乳を注ぐ女』に次いで二度目の挑戦となりました。
この絵を描いている時に、耳飾りの真珠がやけに大きく、丸くもなく、やたらと光っているので気になりながら描いていました。後で調べたところ、耳飾りは真珠ではなくて、ドロップ型のガラス玉であると分かりました。
古典作品の模写は一度やってみると分かると思うのですが、そこから学ぶ事がたくさんあるのです。油彩画や人物画の初学者にとっては、大変有効な学習方法だと思うのです。
静南美術研究所では、模写の指導もやっていますので、ご興味のある方は画塾まで問い合わせてみてください。ご連絡先は下記に記しておきます。
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