ののの備忘録

『日月神示』の解読と来るべき『ミロクの世』に向けた提言。「神一厘の仕組み」と「テンバガー投資法」

ブラックオイルの制作

作ってみた:メディウム編1

ブラックオイルを作ってみました。

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ブラックオイルの作成
学ぶは真似ぶから始まる

油彩画の伝統的な学習法の一つに古典作品の模写をするという方法があります。

 

美大出の絵かきさんはあまり模写をしないそうなのですが、細密画や写実画を学ぶのであれば、材料や技法にまでこだわった精密な模写はとてもよい勉強になります。

 

古典絵画の学習のためのよく知られた著名なテキストがあります。

 

f:id:tukishiro_art_lab:20190807082905j:plain 『巨匠に学ぶ絵画技法』
 ルーベンスレンブラント

 デューラーの技法を盗む。
 J・シェパード著 
 マール社

 

自分のための調合

今回は、この教科書にしたがって古典作品を模写をするためのメディウムを作ってみることにします。

 

この本の中で紹介されているメディウムはあくまでも標準的なものであり、巨匠たちは各々工夫を凝らしたメディウムを数種類使っていたであろうと著者は語っています。

 

実際そのとおりであっただろうと思われます。基本的なメディウムの調合が分かれば、あとは工夫して自分の作風にあったメディウムを作ることが出来るようになるからです。

 

煉瓦や石壁などを表現するのに適した少し硬い調合や、ふんわりした雲や空のグラデーションをきれいに出すための柔らかめの調合など、目的に合わせた調合ができるようになるからです。

 

ブラックオイルとメギルプ

テキストで紹介されている標準メディウムは、メギルプと呼ばれるジェル状のメディウムです。

 

速乾性に優れていて、粘性が高いので立体感を出すことができる調合メディウムです。

 

このメディウムは時間が経つにつれ質の低下が起こるため、1~2ヶ月分だけ作るのが良いとされているのです。

 

要は作り置きが効かないということ。それゆえ、市販されていないのではないでしょうか?

 

メギルプを作るためには、先ずブラックオイルを用意しなければいけません。

 

国内でブラックオイルを作っているメーカさんは2015年当時はありませんでした。現在は、2社から出されています。

 

海外のメーカさんから購入するという手もありますが、学習ためですからここはぜひ自作することをオススメいたします。

 

ブラックオイルの自作

ブラックオイルの作り方は『巨匠に学ぶ絵画技法』にも書かれていますが、より詳しくは松川宜弘氏のホームページ『西洋絵画の画法と技法』に書かれています。

 

www.cad-red.com

 

ブラックオイルは乾性油に鉛白を少量加えて熱して作ります。オイルがコーヒー色から漆黒になってから、さらに1時間ほど熱しつづけます。

 

しかしながら、乾性油の種類によってはオイルが黒くなるまでかなり時間が掛かる場合があるのです。

 

この時ダンマルガム(樹脂の一種)を少量加えてやることによって、漆黒になるまでの時間を短縮することができると『西洋絵画の画法と技法』に書かれています。

 

実際そのとおりの結果を得ることができました。

 

ポピーオイルをブラックオイル化

以下の作例は、乾性油にポピーオイルを使った例です。最初から景気よく少し大きめのダンマルガムをぶち込んでいます。

 

オイルがブラックコーヒー色になるまで約30分掛かりました。それから1時間ほど熱し続け、約1時間半ほどで完了しました。

 

この実験の前に、リンシードオイルで試したことがあります。この時は、ダンマルガムを使わなかったため、もう少し時間が掛かりました。

 

作業上の注意

長時間熱を加え続けなければいけませんから、作業場から離れてはいけません。安全のため、消火器も用意しておきましょう。

 

IHヒーターを使うと温度管理が楽であり、また火を使わぬためより安全に作業を行うことができます。

 

漆黒の守り人
オイルを熱すると、多少きつめの匂いが出ますから作業の時と場所を選びましょう。ご近所迷惑にならぬよう心がけることが肝心です。

 

長い時間、オイルがミルク色からブラックコーヒー色、最終的には『混沌より生まれし漆黒のなにがし』色になるまで根気よく見守り続けなければいけません。

 

退屈しのぎのためには本を一冊用意しておくと良いかもしれません。本にのめり込みすぎて、色の変化を見逃してしまってはいけませんから、小説よりも短編集とか詩集、エッセイ集などがおススメかと思います。

 

この時は、厨二病患者におすすめの詩人だと、どこかの誰かさんが紹介していた詩人、田村隆一氏について書かれた長薗 安浩 氏のエッセイ集「言葉なんかおぼえるんじゃなかった:詩人からの伝言 」を手元に用意してみました。

 

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 言葉なんかおぼえるんじゃなかった:
 詩人からの伝言
 長薗 安浩 著
 田村 隆一 語り
 ちくま文庫 2014/11/10

 

材料と道具

材料:
乾性油(100g)・鉛白(5g)・ダンマル樹脂ひとかけら(3g)

 

道具:
計量器・IHヒーター・小鍋・温度計・割り箸・空き瓶・じょうご・コーヒーフィルター・保存用の小瓶・ラベル・糊・ホッチキス・エッセイ集

 

作業手順

1:材料計測

計量した乾性油と鉛白を鍋に入れます。このときに、ダンマル樹脂をひとかけら一緒に鍋に投入します。

 

2:加熱処理

IHヒーターで鍋を170度前後で熱しつづけます。30分ほどでミルク色からブラックコーヒー色に変化します。

 

ブラックコーヒー色となってから、さらに一時間ほど、時々、割り箸などでかき混ぜながら熱しつづけます。

 

3:冷却

オイルに鉛白が完全に溶けたのを確認します。IHヒーターから鍋を下ろし、自然冷却させます。安全のため、60°程度まで冷却させます。

 

4:濾過

濾過し不純物を除去します。濾過用のフィルターには、コーヒーフィルターをホッチキスで止めて使うと良いです。


5:ラベル

保存用の瓶に入れて、日付や材料名を書き入れたラベルを貼っておきます。


6:保管

冷暗所にて保管します。

 

添付写真説明

1:材料と道具を用意します。

 

2:材料を計測します。

 

3:材料を熱する準備をします。

 

4:材料を鍋に入れ、準備完了です。鍋中央に見えるのがダンマルガムです。

 

5:鍋を熱し始めてから、約5分ほどで温度は160°に達します。ダンマルガムは100°近辺で溶け始めるので、すでに溶解しています。温度は170°あたりをを維持します。

 

6:約8分後、コーヒー牛乳色に変化します。

 

7:約20分後、ココア色に変化します。

 

8:約30分後、ブラックコーヒー色に変化します。

この時、鉛白はまだ完全に溶けてはいません。

 

9:さらに約一時間熱し続ける。

この時点で鉛白は完全に溶解します。『混沌より生まれし漆黒のなにがし』色となり、完成です。


10:濾過し、不純物を取り除きます。

 

11:保存用の容器にいれ、日付を書き入れたラベルを貼ります。

 

市販のブラックオイル

国産品

クサカベ ブラックオイル

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海外製品

作家の鳥越一穂氏から紹介していただいた、海外のメーカーリストです。

http://bit.ly/1Zc8wsW

http://bit.ly/1Zc8DVx

http://bit.ly/1Zc8ukX

http://bit.ly/1Zc8ukZ

http://bit.ly/1Zc8wcG

 

市販製品の比較

 国内メーカーから出されているブラックオイルは、妙に明るいです。ブラックコーヒー色というよりかは、紅茶色に近いです。

 

使ってみた感じも、自作したブラックオイルに比べて、ジェル化しにくかったです。海外製品はまだ試していませんが、こちらは明らかに黒いです。

 

こうした差異も自作した経験があると、その違いについての理解が深まるかと思います。

 

松川宜弘氏

www.facebook.com

 

目次:画材研究

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