ののの備忘録

『日月神示』の解読と来るべき『ミロクの世』に向けた提言。「神一厘の仕組み」と「テンバガー投資法」

フェルメール『牛乳を注ぐ女』

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フェルメール『牛乳を注ぐ女』
基礎情報

オリジナル 1658~59年 
油彩 カンヴァス 460mmx410mm 
アムステルダム国立美術館所蔵

 

レプリカ 2016年  油彩 
カンヴァスにジェッソ 
F8(455x380mm) 非売品

 

フェルメールの『牛乳を注ぐ女』の模写。
F8号のキャンバスに油彩で描いています。

 

作品解説

『牛乳を注ぐ女』は、オランダ黄金時代の画家ヨハネス・フェルメールが1657年ごろに描いた絵画。

 

キャンバスに油彩で描かれた作品で、アムステルダムアムステルダム国立美術館が所蔵している。

 

アムステルダム国立美術館はこの作品のことを「疑問の余地なく当美術館でもっとも魅力的な作品の一つ」としている。(ウィキペディア)

 

古典技法と現代技法と併用

このレプリカは、静南美術研究所河村嚴生先生の御指導のもと古典技法と現代技法を併用して描いた。

 

市販のキャンバスにジェッソで下塗りをし、樹脂を含まぬメディウムを使って描くという現代的な描き方と、グレーズを多用するという古典的な画法の併用画法で描いた。

 

この方法であれば、古典的な支持体やメディウムを用意しなくとも古典的な画法を学習することができる。

 

レプリカは、古典画法を学ぼうとする油彩画の初学者にとっては大変有効な学習方法。

 

レプリカに挑戦したい方は独学で始める前に一度静南美術研究所の門を叩いてみると良い。

 

静南美術研究所 Gallery Seinan
静岡市駿河区西脇1291-1 
TEL054-654-8288

shizuoka-art.com

 

 

フェルメールと透視図法 1

調整されたパースライン

ヨハネス・フェルメールの『牛乳を注ぐ女』について、建築パース(建築画)の仕事に長いこと従事してき職人的絵師から見た一考察。

 

レプリカ作成に当たって実物第のポスターを取り寄せ、じっくりと観察した。

 

その時、最初に違和感を抱いたのが、窓の部材のパースラインの狂いだった。

 

この絵には他にもパースラインの狂いが幾つか見受けられる。

 

他のパースラインがやたらと正確なのでより目立ってしまう。

 

模写なのだから、そのまま描き写す事にしたのだが、どうも気になって仕方がない。

 

パース屋(建築画家)の性なのだろう。一種の職業病だといえる。

 

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フェルメールと投資図法
パースラインの抽出

図1はフェルメールの描いた原画。

 

図2は、原画から主要な線を抽出し、消失線と消失点を求めた図になる。部屋の消失点VPの他に2つの消失点VP2とVP3がある。

 

図3は、パースラインを透視図法に基づき補正した線画。

 

図2(原画から抽出した線画)と図3(補正した線画)の違いがおわかりだろうか?

 

図4はパースラインに微調整が加えられた4本の線を表している。窓の一番上のサッシのラインと窓下部の部材の線に調整が加えられている。

 

図5は図2(原画から抽出した線画)と図3(補正した線画)を重ね合わせた線画になる。青の線が、透視図法に基づいて書き直した線。

 

パースラインの補正

フェルメールは、一度透視図法に基づいて下絵を書いた後に、ある目的のためにパースラインに微調整を施したのだと推測する。

 

テーブルと窓の部材に加えられた調整は、奥行を強調するために施したのだと考えられる。

 

また、窓のサッシに加えられた微調整は、きつめのパースラインを緩やかにするために施した調整であろうかと思われる。

 

不自然な窓のパースラインの補正窓のパースラインに調整を加えた際に、部屋の消失点VPに向かう4本のサッシの線に修正を加えなかったがために、不自然さを作り出している。

 

この不自然さを解消するために、この4本のサッシの線に補正を加えて書き直してみた。

 

図6では、消失点の代わりに消失面を用意した。

 

図7では、より自然に見える様にサッシの線を引き直した。

 

図8が補正を施した図になる。この様にすれば、窓のパースラインの不自然さは軽減される。

 

テーブルの補正

フェルメールはなぜ、テーブルにこの様な補正を施こしたのだろうか?

 

画面に向かって真っ直ぐに見ているのであれば、テーブルの形は図3の様に見る。

 

しかし、テーブルに注意を向け目線をテーブルの上面に向けると、フェルメールが補正した図2の様にテーブルが見える。

 

実際にテーブルの模型を作って、写真に撮ってみた。

 

写真機は単眼であり、人間の目は両眼であるとの違いはあるが、目線をテーブルに向けた時の変化がよくわかるかと思う。(図9と図10)

 

興味のある方は、図にある様なテーブルの模型を作り確かめみるとよい。(図11)

 

視線誘導

フェルメールは、絵を見る人の注意が自然とテーブルの上面に向くようにこの様な補正を施したのだと考えられる。

 

鑑賞者の視線は最初に自然と緻密に描かれたテーブルの上のパンに惹きつけられる。

 

次にやはり緻密に描かれた背景のカゴに視線が誘導される。

 

その後鑑賞者の目は人物の顔から、陶器の壺に移り、螺旋を描きながら注がれるミルクに惹きつけられる。

 

そしてまた、パンから同じルートをたどり視線は循環してゆく。

 

時間が止まったような静謐な空間の中で、唯一動きを感じさせるのが、壺から螺旋を描きながら陶器の容器に注がれるミルクの流れ。

 

このミルクを中心に鑑賞者の目は絵の中を彷徨う。見ていて飽きのこない見事な仕掛け。

都市景観画家と線透視図法

フェルメールは当時の教会内部を描く都市景観画家たちの影響から、線透視図法を学んでいたであろうと推測される。

 

フェルメールの作品の多くは、その図法の正確さからあらかじめ用意した図面を元に室内の線画を描き起こしているのがよく分かる。

 

複数の図面を用意し使い分けていたのだとする研究者もいる。

フェルメール図像学(イコノグラフィー)

この絵に散りばめられた小物には、当時の風俗画の多くがそうであった様にさまざまな隠喩が含められている。

 

これらの隠された暗号を読み取り、作者の意図した意味を推測するのが、古い時代の絵画鑑賞の一つの楽しみでもあった。

 

ここで『牛乳を注ぐ女』に込められた暗喩について解説するような無粋なことはしない。

 

興味のある方は書籍やネットで調べてみると良い。

 

絵を鑑賞する、新しい視点を発見することになるかもしれません。

 

 目次:レプリカ

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