ブグロー
ウィリアム・アドルフ・ブグロー(William Adolphe Bouguereau, 1825年11月30日 - 1905年8月19日)19世紀フランスのアカデミズム絵画を代表する画家で、神話や天使、少女を題材とした絵画を多く残しました。
画風はアングルなどの新古典主義の流れを汲む伝統的なもので、キリスト教、神話、文学などに題材をとった構想画のほか、肖像画を数多く残しています。
構図や技法はアカデミックなものですが、官能的な裸婦像、可憐な子どもの像、憂愁を帯びた若い女性の像などに独特の世界を築いています。
甘美で耽美的な彼の画風は当時の人々の好みに合ったと見え、生前には彼の名声は非常に高かったようです。
20世紀以降、さまざまな絵画革新運動の勃興とともにブグローの名は次第に忘れられていきました。再評価されるようになるのは20世紀末のことでした。
画家のエリートコース
19世紀以前のフランスの画家の出世コースは、エコール・デ・ボザール(国立美術学校)で学び、ローマ賞を得て公費でイタリアに留学し、サロン(官展)に毎年出品し、美術アカデミーの会員となり、エコール・デ・ボザールの教授になるというのが典型的なパターンでした。
ブグローはこのような当時の画家の絵に描いたようなエリートコースを歩んだ画家でした。印象派が生まれた19世紀末のフランス画壇において中心を占めていたのはラファエロ、プッサンらの系譜に連なるアカデミスムの絵画であり、ブグローもその一員であったのです。
印象派の台頭
20世紀に入り、印象派、ポスト印象派、キュビスム(立体派)などのモダニスムの台頭とともに、これに対抗する旧勢力としてのアカデミックな絵画は等閑視されるようになり、やがて美術史から忘れ去られた存在となったのでした。
印象派の画家たちの絵は、当時なかなかサロンでは評価されませんでした。当時のサロンの主流がブグローのようなアカデミズムの系譜に連なる画家たちであったからでした。
再評価
しかし、20世紀末頃からアカデミスム絵画を再評価し、美術史の上で正当に位置付けようとする動きが高まり、ブグローについても再評価がなされるようになったのです。
1984年にパリのプティ・パレ美術館で行われた回顧展以降、ブグローへの評価と関心が高まり、彼は19世紀フランスを代表する画家の一人と見なされるようになっているのです。
古典技法と現代技法と併用
静南美術研究所河村嚴生先生の御指導のもと、古典技法と現代技法を併用して描きました。
板に初めて描いた模写です。カンヴァスに描くのに比べ初めは戸惑いがありました。始めダンマル樹脂の入った市販のペンティングオイルを使ってみたのですが、乾きが早くとても描きにくかったです。
後半、マスチック樹脂とコーパル樹脂、バルサムを適度に配合したメディウムを使ってみました。乾性油にはリンシードオイルとスタンドオイルを2:1で配合しました。この当時はまだ、高橋メディウムのレシピは公開されていませんでしたから、手探りの調合でした。
この配合により、板のような滑らかな画面でも描きやすくなりました。油彩画の初学者にとり古典作品の模写は大変有効な学習方法だと改めて感じた作品でした。
参考資料
William Bouguereau:
The Essential Works
ハードカバー – 2018/11/20
Kara Lysandra Ross (著),
Frederick C. Ross (著)
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