フランク・フラゼッタ　模写3

P8 キャンバス

地塗り：アクリルジェッソ

油彩画

その昔、仕事の合間を縫って途中まで描きかけてあった絵を仕上げたものです。

当時、独立したばかりであまり仕事もなく比較的暇があったのでフラゼッタの模写を試みていました。

この頃は、技法書に従って下絵をテレピンだけで描いていました。地塗りにはアクリルジェッソの白を塗っていました。

キャンバスに、線画を転写して薄塗りであっさりと下絵が途中まで描かれた状態でした。厚塗りであれば、すでに画面にヒビが入っていた可能性もあったのですが、キャンバスの裏面にカビが発生することもなく比較的良好な状態で保存されていました。

その後仕事が忙しくなり、続きを描く暇もなくなり長いあいだほったらかしにされたままになっていた絵を仕上げたものです。

絵の具はBLOCKX(ブロックス)社製の油絵具を使っています。国内製品に比べて展色材の含有量が少なく、発色が鮮やかなので重宝しています。

油絵の具は顔料と油を混ぜ合わせて作るのですが、顔料と油を馴染ませるために展色材を使います。これを使わないと、時間が経つにつれて絵の具から油が分離することがあるのです。

日本のユーザーは口うるさいので、絵の具の安定性を高めるために次第に混ぜものの含有量が増えていってしまったのです。国内製品と海外の製品を比べると、顔料の含有量が大きく違うのです。

混ぜものの割合が増えると、顔料の割合が減りますので色の鮮やかさが落ちます。混ぜものの少ない油彩絵の具は発色の良さが違うのです。

一度、BLOCKX(ブロックス)社製の発色の良い絵の具を使ってしまうと、混ぜ物の多い絵の具は使いたくなくなってしまいます。

良い油絵の具は、それなりのお値段がします。ですから、むやみやたらと色数を増やすことができないのです。必然的に絵の具箱の中の絵の具の本数は限られたものとなってゆくのです。

ここでは、基本色となる１０色を紹介いたします。

1　フレークホワイト（シルバーホワイト）
2　カドミウムイエローペール　
3　インディアンイエロー　
4　イエローオーカー　
5　カドミウムレッド　
6　クリムソンレーキ　
7　バーントシエナ　ディープ　
8　ライトレッド　
9　マルスブラック　
10　ウルトラマリン　ブルー　ディープ　

緑系の色はブルー系とイエロー系の絵の具で作ることができますから、基本10色の中には入っていません。

古典絵画の模写をするときは、当時の画家が使っていた絵の具と同等のものを用意して描くとよいのです。

さすがにラピスラズリを常用するのは経済的にむつかしいですから、ウルトラマリンで妥協します。

こちらは、ブロックス絵の具の価格表になります。

この基本色に必要に応じて他の絵の具を足して使えば良いのです。古典絵画の模写であれば、この基本色10色で間に合います。

しかしこの組み合わせでは出せない色とかもありますから、状況に合わせて判断します。色相は合わせることができても、彩度が落ちてしまうなどといった時に検討すればよいのです。

綺麗な紫とか発色の良いエメラルゴグリーンとかは、この組み合わせではどうしても彩度が落ちた色となってしまいます。

そうしたときにはじめて、ウルトラマリン以外のブルーの絵の具やバイオレット系の絵の具を検討するのです。

基本10色以外では、ブルー系の、ターコイズブルー（レンブラント社）と紫系のコバルトバイオレットディープ（ブロックス社）をよく使います。

滅多なことではつかいませんが、一応ラピスラズリも用意しています。

（現在一般ユーザー向けの販売は休止しています）

博物館で複製画を描いてきた絵師・高橋亮馬が厳選した油絵具１２色セット

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