作ってみた:メディウム編4
今回は、フェルメールの『小路』のレプリカで使用した「硬いメディウム」と「柔らかいメディウム」の作り方ご紹介致します。
「硬いメディウム」と「柔らかいメディウム」
絵の具の描き味を決定づける働きをする樹脂は、次の3つです。
1:バルサム
2:マスチック樹脂
3:コーパル樹脂
樹脂の性質
筆運びをなめらかにしたいのであれば、マスチック樹脂を適度に混合します。
乾燥を早め、光沢のある堅牢な画面を作りたければ、コーパル樹脂を混合します。コーパル樹脂を使うと、メディウムの描き味は硬くなり筆後が残りやすくなります。
筆跡を無くし、エマイユ効果を出したいのであれば、バルサムを使います。バルサムが多ければ、柔らかいメディウムとなり、少なければ硬いメディウムとなります。
主に、コーパル樹脂とバルサムの組み合わせで、メディウムの硬さを調整することができるのです。
樹脂の混合例
硬い混合比
バルサム:マスチック樹脂:コーパル樹脂
=3:1:1
標準的な混合比
バルサム:マスチック樹脂:コーパル樹脂
=4:1:1
柔らかい混合比
バルサム:マスチック樹脂:コーパル樹脂
= 5:1:1
乾性油と樹脂
乾性油と樹脂の混合比は、樹脂率を20%以下にとどめておくのが良いかと思います。
樹脂率=樹脂 / (樹脂+乾性油)
比較的うす塗りの人は、樹脂の混合比を高めても良いかと思います。
樹脂の配合率の高いメディウムで厚塗りをするのはあまりオススメ出来ません。
いずれにしても、自分の画風にあったメディウムの調合比を実作を通して研究するのが良いかと思います。
メディウムの混合比
例:乾性油:樹脂=10:2
樹脂率(樹脂/(乾性油+樹脂))=20%
硬い混合比
乾性油:バルサム:マスチック樹脂:コーパル樹脂
=25:3:1:1
標準的な混合比
乾性油:バルサム:マスチック樹脂:コーパル樹脂
=30:4:1:1
柔らかい混合比
乾性油:バルサム:マスチック樹脂:コーパル樹脂
= 35:5:1:1
乾性油
乾性油はお好みで調合してください。
例:リンシード:スタンドオイル=4:1
スタンドオイルの混合比が高ければ、粘性が高くなります。
揮発油
実際に使用するときは、テレピンなどの揮発油で薄めて使います。
初期段階:25%まで希釈する。
メディウム:揮発油=1:3
仕上げ段階:50%まで希釈する。
メディウム:揮発油=1:1
テレピンの匂いの気になる方には、ルフラン&ブルジョア社製のターペンタイン(テレピン)がおすすめです。
また、アスピックオイル(スパイクラベンダーオイル)を少量足してやると、良い香りのする揮発油になります。
例:テレピン:アスピック=6:1
実際の調合
実際に調合するときは、作りおきの樹脂ワニスを使うと便利です。
マスチックワニス(33% 溶液)
コーパルワニス(33% 溶液)
ワニスを使ってメディウムの調合を行うときは、最終的に揮発油の混合比が50%になるように計算して調合するとよいです。
また、樹脂ワニスを作る際の揮発油に最初から先にご紹介しました、良い香りのする揮発油を使うとよろしいかと思います。
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